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人事制度

定年延長後の再雇用について

 先週の5月13日、東京地裁で、60歳での定年後、同じ業務で再雇用された従業員に対し、定年前と同じ業務なのに賃金を引き下げるのは、違法であるとした判決が出されました。

 

 裁判の概要は、

・運送会社に正社員として21年から34年間勤務していた従業員が、60歳の定年を迎え、その後1年契約の嘱託社員として再雇用された。

・業務の内容は、定年前と全く同じだったが、嘱託社員の賃金規程が適用され、年収が2〜3割減額された。

 ・定年前と同じ業務なのに賃金を下げられるのは違法であるとして提訴した。

 

 それに対する判決は、「特段の事情が」ない限り、業務の内容や責任が同じなのに賃金を下げるのは、正社員と有期契約労働者等との不合理な差別をすること禁じている、労働契約法第20条に違反するとして、定年前(正社員として)の賃金規程を適用して差額分の給与を支払うことを命じました。

 

 定年退職された従業員を再雇用する場合に、賃金が引き下げられることは、多くの事業所で行われていたことだと思いますし、また、雇用保険における、高年齢雇用継続給付制度も、ある意味では、定年退職後における再雇用された場合に賃金額が低下することを想定して、それをカバーするための制度とも言えます。

 

これは、地裁での判決ですので、最終的に確定したわけではありませんが、定年退職した後でも、仕事内容や責任が全く同じであれば、賃金を引き下げるということは出来なくなるのかもしれません。

この問題は、正社員と非正規社員との関係でも同じようなことが問われています。

 

今後、人口の減少や、年金支給開始年齢の変更など、さまざまな変化に対応していくために、なぜ、定年退職後は賃金が変更になるのか、その時に仕事内容はどうなっているのか。正社員と非正規社員とでは、仕事の内容はどのように違っているのかなど、自社の人事制度全般についてじっくりと考えてみることが必要な時期にきているのかもしれません。

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