皆さんの会社では、どのような社員教育を実施されていますでしょうか。先輩から直接教わるOJT、業務とは別に座学を含めた社内研修、あるいは社外でオープンセミナーに参加するOff-JTなど、さまざまな取り組みがあると思います。
さて、その社員教育は成果をあげていますか?
教育を受けて「何かが変わった」と実感できているでしょうか。
今回は、成果につながる社員教育について考えてみたいと思います。
成果が出ない社員教育の共通点
弊社でも、企業様から社員教育についてのご相談やご依頼をいただくことがあります。よく耳にするのは「やってみたけれど、いまいち成果があがらない」という声です。
社員教育にはお金も時間もかかります。せっかく費用を投じても成果があがらなければ、会社としてはつらいものです。
では、なぜ成果が出ないのでしょうか?
理由はいくつもありますが、ひとつ大きな原因は受ける側の従業員の心の中にあります。
つまり、「なぜこの教育をやる必要があるのか」が十分に理解できていないため、やらされ感を拭えないのです。
人はやらされていると感じると感情がマイナスに働き、十分なパフォーマンスを発揮できません。社員教育も例外ではありません。
理念やミッションを教育に結びつける
昔、ある接客コンサルタントの企業研修をお手伝いしたことがあります。研修先は飲食店で、歩き方やお辞儀の仕方、注文時の言葉遣いなどを繰り返し練習するものだろうと思っていました。
ところが、その研修は違いました。冒頭からその会社の理念の話が始まったのです。
コンサルタントは事前に理念を調べ、経営者にヒアリングをして、会社の目指す姿や方向性を確認し、それを従業員に改めて伝えるところから研修をスタートしました。
理念やミッションは、会社が社会においてどんな役割を担うかを明確にするものです。その実現を研修の目的として示すことで、単なるスキル習得以上の意味を持たせることができます。
このように目的や価値を理解し、自分はできると思い、達成にワクワクする状態になることで、社員教育は成果につながりやすくなります。
達成イメージを持つことで成果が変わる
では、「自分はできる」と思えたり、「課題達成にワクワクする」状態になるにはどうすればよいのでしょうか。
そのヒントは脳の使い方にあります。
子どもの頃、ゲームに夢中になった経験はありませんか? 勉強はすぐに嫌になるのに、ゲームなら何時間でも集中できたという人は多いと思います。
ゲームと勉強の違いは、課題をクリアした状態をイメージできるかどうかです。
ゲームは「頑張ればクリアできる」とわかっており、過去にクリアした経験もあるため、今の課題達成のイメージが簡単に持てます。
一方で勉強は「やらされ感」が強く、達成イメージを描きにくいのです。そのためパフォーマンスが上がりにくくなります。
逆に言えば、無理やりにでも達成後の状態をリアルにイメージすることができれば、人は自然とその課題に集中できるのです。
脳はイメージしたことを実現に向けて動いてくれます。
成果をあげる社員教育のポイント
社員教育を成果につなげるには、
- 教育の目的や価値をしっかりと伝えること
- 受講者が「自分はできる」と思える環境をつくること
- 達成後のイメージを具体的に描かせること
この3つが鍵となります。
ぜひ、次に社員教育を企画するときには、こうした視点を取り入れてみてください。
「やらされ感」の教育から「ワクワクする学び」へと変わることで、成果が格段に高まるはずです。