このコラムは傍楽通信2015年4月号の記事をリライトしたものです

皆さんは、普段されている仕事以外に何か活動をされていますでしょうか。現在の仕事以外の活動に携わることをパラレルキャリアと言います。

「仕事が忙しすぎて、そんな時間はないよ」という声も聞こえてきそうですが、よりよい人生を送るためには、何か他の活動にも関わることを強くおすすめします。

では、なぜ普段の仕事以外の活動を持った方がよいのでしょうか?

これにはいくつか理由があります。

普段の仕事以外の活動を持った方がよい理由

視野を広げ、固定観念から自由になる

ひとつには、視野が狭くなることを防ぐためです。

一つの仕事だけを通じて世界に身を置くと、どうしても自分のイメージできる世界が固定化されてしまいます。会社の常識や価値観、業界の常識や価値観にとらわれて物事を見るようになってしまうのです。

これを防ぐには、別の世界に身を投じ、自分の中に「別の何か」を取り入れることが有効です。そうすることで、普段の仕事にも良い影響が現れるでしょう。

キャリアの寿命は組織より長い

あなたが働いている組織は、果たしてあなたが60歳になっても存続しているでしょうか?

現代では、人間のキャリアの方が組織の寿命より長い時代になっています。短命な組織も多く、あなたが一つの会社でキャリアを全うするとは限りません。

また、たとえ組織自体が残っていたとしても、何十年も同じ仕事を続けていると、いずれ飽きが来るものです。そうなったとき、第二の人生の準備として、複数の活動を持っていることが大きな支えとなるのです。

今の仕事では生かしきれない強みを活かす

あなたの持つスキルや強みは、今の仕事ですべて発揮されているでしょうか?

実際には、「できること」のうち「なすべきこと」にしか取り組めていない人が多いかもしれません。
でも、強みは徹底的に使ってこそ、伸びていくものです。

その強みを今の仕事に反映させるのも大切ですが、別の場を見つけて活かすというのも一つの手です。

どうやってパラレルキャリアを実現するか

アメリカでは、パラレルキャリアの実践方法としてボランティア活動が一般的です。日本と違い、多くの人が主たる仕事の他に、何らかのボランティアや教会の活動に携わっています。

「ボランティア」と聞くと、被災地での支援活動など、特別な奉仕活動をイメージされる方も多いかもしれません。
しかし、広い意味では、報酬を目的とせず、社会や地域のために行う自発的な活動全般を指します。
たとえば、非営利団体(NPOなど)での活動や、地域のイベント・教育支援・環境保全なども立派なボランティアです。

たとえば筆者の場合、近江商人の精神を伝える活動を行っているNPO法人三方よし研究所という団体に所属し活動を行っています。また、こちらはボランティアではありませんが、本業にも強く影響を与えている
ドラッカー読書会の運営なども行っています。

趣味・地域・教育活動も選択肢に

ボランティアに限らず、趣味に関するサークル地域活動・PTA活動なども、パラレルキャリアの一つです。

少し意識を向けてみるだけで、身の回りにさまざまな活動団体があることに気づくはずです。

また、どのくらいの時間をかけるかは自分で自由に決めて良いのです。週に1時間でも、10時間でも構いません。大切なのは、人とともに活動すること

なお、他の団体への参加が兼業とみなされる場合もありますので、お勤めの会社の就業規則などは確認しておくことをおすすめします。

他の人はどうしてる?パラレルキャリア実践例

たとえば、製造業に勤める40代のAさんは、週末に地元の子ども食堂の運営を手伝っています。

きっかけは「自分の子どもに、社会とつながる姿を見せたい」という思いからでした。活動を通じて、子どもや高齢者との交流から学ぶことが多く、今では職場での後輩育成やチーム内のコミュニケーションにも良い影響が出ていると感じているそうです。

また、事務職のBさん(30代女性)は、趣味のハンドメイドを生かして週1回地域のイベントに参加し、ワークショップ講師をしています。

「自分の強みを活かせる場所があるだけで、平日の仕事も前向きに取り組めるようになった」と話してくれました。

初めてでもできる、パラレルキャリアのはじめ方

「でも何から始めればいいかわからない…」という方は、以下の3ステップで考えてみましょう。

1. 自分の「好き」や「得意」を洗い出す
過去に楽しかったこと、褒められたこと、やってみたいことを書き出してみましょう。

2. 活動の選択肢を広げる
市の広報誌、NPOのサイト、知人の紹介などを通じて、自分が関われそうな団体を探します。
「○○市 ボランティア」などで検索するだけでも多くの情報が得られます。

3. 無理なく続けられる時間を決める
最初は月1回、週に1時間など、続けられるペースで十分です。
負担が少ないことが、長続きのコツです。

あなたはどんな「もう一つの活動」を始めますか?

あなたにとって、「もう一つの名刺」を持つとしたら、それはどんな肩書きでしょうか?

たとえば「コーヒー好きなイベント運営者」「地域に笑顔を届ける人」「週末だけの先生」など、名前だけでも想像するだけで楽しくなりませんか?

今日から少しだけ視野を広げて、あなたの可能性を開く小さな一歩を踏み出してみてください。