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コラム

労務管理

扶養の範囲内で働くことは本当にお得なのか?

最近は正社員だけでなくパートタイマーやアルバイトにも人事評価制度を導入する会社が増えてきました。今まで、最低賃金の上昇に合わせて単純に全員の時給を上げたり、がんばってるからとか長く勤めてくれているからなど社長や管理者の感覚で時給を上げたりすることが一般的でしたが、正社員と同じ様に働きぶりに応じて時給の上げ下げをしたいというニーズが増えています。

同一労働同一賃金がスタートしたことも一因となっています。

加えて、そもそも人事評価制度の目的である、従業員の望ましい行動を増やすこと、従業員が自己開発をすることの2点に関しては正社員であろうとパートタイマーであろうと同じです。

しかしここでも扶養の壁が制度運用の障害となっているようです。

そもそも、ここ数年の最低賃金の急上昇で時給は上がったけど、そもそも扶養の範囲で働きたいから逆に労働時間を減らさないといけないという人が多数います。人事評価制度を導入して時給を上げる仕組みを運用すると、結局同じ問題に遭遇するでしょう。

では、そもそも扶養の範囲内で働くことは本当にいいのでしょうか。

具体的な数字を示してみる

扶養の範囲内で働きたいという理由は様々ですが、実は明確に理由を説明できる人はごく一部のようです。ほとんどの人は、何となく扶養から外れると税金とかが多くなって損をするというイメージで言っているという現実があります。

このような場合、具体的な数字を示して説明すると今までかたくなに「扶養の範囲内で」と譲らなかった人があっけなく意見を変えたという事例も多く聞きます。

労働時間ごとのシミュレーション例(時給1,200円、30歳)

例えば、上記の様な表を作りましょう。これで、どの程度本人の手取が増えるのかが明確になります。

配偶者の負担増も加味する

加えて配偶者の扶養から外れた場合の配偶者の負担増もある程度試算することは可能です。配偶者の負担増として考えられるものは例えば次の2点です。

配偶者の所得税と住民税

配偶者の年収と、本人(パートタイマー)の年収に応じて金額は変わりますが、例えば配偶者の年収が500~600万円程度の場合、最大でも年間7万円程度の負担増となります。月にすると6,000円程度です。

配偶者の家族手当

配偶者が家族手当をもらっている場合、支給要件にもよりますがなくなることが想定されます。相場としては10,000円~20,000円でしょうか。

結局どうなのか

上記の様に、仮に扶養を外れたとしても、時給を上げたり労働時間を増やすなどでカバーできる金額しか減少しないということになります。

そうであれば、それ以上働くことで、世帯全体の所得も上がり、加えて仕事で自分の強みやスキルを活かすことができるのです。

会社の視点から見ても、労働力確保の観点から新規で採用するより、今いるパートタイマーで優秀な人にもっと働いてもらった方がよいケースがあります。

募集しても人が集まらない、今いる人にもっと働いてほしいとお考えの場合、上記の様なシミュレーションを用意してパートタイマーに説明してはいかがでしょうか。

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