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コラム

事業のマネジメント

マネジメントにおける適正価格とは

商品やサービスの価格設定には誰しも頭を悩ませるのではないでしょうか。多くの場合、同様の商品やサービスの相場などを参考にして決めているかと思います。

では、ドラッカー教授は価格についてどのように考えているのでしょうか。著書『現代の経営〈上〉』で次の様に書いています。

最後に、「顧客は何を価値あるものとするか」「製品を買うとき何を求めているか」という最も難しい問いがある。これまでの経済理論は、この問いに対し一語をもって答える。「価格」である。だがこの答えは誤解を与える。確かに価格が重要な要素の一つでない製品はほとんどない。しかし、まず第一に、価値としての価格そのものが、単純なコンセプトではない。(中略)

第二に、価格は価値の一部にすぎない。価値にはこのほか、耐久性、故障率、信用度、純正度など製品の質に関わるあらゆる種類の要素がある。高級香水、高級毛皮、高級ガウンのように、価格の高さ自体に価値がある場合さえある。

第三に、サービスをはじめとする顧客側の価値観がある。

P.F.ドラッカー『現代の経営〈上〉』

目を向けるべきはその商品やサービスが提供できる価値であり、競争相手がいくらで売っているかではないというのが重要な点です。

第一のポイントとしてあげている、価値としての価格というコンセプトについて、同書ではヒューズボックスメーカーの事例が出ています。主たる顧客である工事店は少しでも安いものを仕入れようとしていました。しかしこの安いというのは価格が低いヒューズボックスという意味ではありません。価格が高くとも、設置に要する時間や労力が安ければ、そこにかかる人件費が安くなり、トータルとして安くなるという意味です。つまり、ヒューズボックス自体の価格は安くはないのです。設置が簡単で設置にかかる人件費が安く抑えられるという価値を持っているということになります。

第二のポイントは誰しも意識するところではないでしょうか。安くても耐久性が低くすぐに壊れる様では誰も買わないでしょう。商品があってその価格があるというように、価格に特別な意味を感じる傾向がありますが、その他多くの価値の一つにすぎないと考える方が適切です。

第三のポイントは最も重要かも知れません。買うことを決めるのは常に顧客です。買うか買わないかは顧客側の価値観に左右されます。売る側である企業が価値あると考えていることが顧客にとっては全く関心のないことであることもよくあります。

これらのポイントを意識しながら適切な価格について考えてみましょう。

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